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代表 11年前

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text by 編集部

ドイツ人がスペインに忠誠を誓う国歌?

 オランダ国歌にはイントロがない。いきなりはじまるので、一拍目のヴィルヘルムスの“ヴィル”の部分を誰も歌えない。これは君が代の“き~”の歌い出しが遅れるのと同じだ。その後は荘厳で美しいメロディーを朗々と歌いあげる。

 歌詞は全部で15番まであるが、歌うのは一番だけだ。それで、なんだか変なことになってしまう。まずは歌詞を見てもらいたい。

『ヴィルヘルムス・ファン・ナッソウエ』
ナッソウ伯 ヴィレム
ドイツの由緒ある 家系の末裔
我はこの地に 永遠の誓いを捧ぐ
我はオラニエ家の 勇気ある王子
スペイン国王に
変わらぬ忠誠を 誓ってきた

「ドイツの由緒ある家系の末裔」というのは、前述した通りドイツの名門の出であることを言っている。ヨーロッパの王族はみな親戚と言っていいほど血縁関係にあり、他国の領地を継ぐことはよくある。例えば、エリザベス女王のウィンザー家の出自もドイツだ。

 問題は「スペイン国王に変わらぬ忠誠を誓ってきた」という件だ。この国歌は16世紀の「オランダ独立戦争」をベースにした歌詞が付けられている。宗主国はスペインハプスブルグ家で、オランダは実に80年もの歳月をかけて、悲願の独立を達成する。

 15番まである歌詞は、独立戦争最中のオラニエ公の心情を歌ったものである。国歌として歌われる一番は、オラニエ公の自己紹介なのだ。スペインへの抵抗の意気込みは二番以降に語られ、神への懇願に移っていく。

 ならば、二番以降を歌えばいいのではないだろうか? とも思うのだが、その辺はあまりオランダ国民は気にしていないらしい。

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