実はフランス産のオレンジ色
オランダと言えば「オレンジ色」だ。代表戦では、選手のユニフォームも客席も鮮やかなオレンジ色一色になる。
国旗とは違う色をメインカラーにしているのは、イタリアの青(アッズーリ)と同じで、国旗に使われている赤白青よりも、さらに歴史のあるナショナルカラーだからだ。
オランダのオレンジ色の起源は、建国の父である「オラニエ公ヴィレム」の名前にある。オラニエ(Oranje)は英語で言うところの”オレンジ色(Orange)”で、現地風に発音するならば、”オランイェ”になる。
オラニエという名前は、ウィレム=アレクサンダー現国王の全名「Willem-Alexander Claus George Ferdinand van Oranje-Nassau」にも、ちゃんと受け継がれている。そんなわけで、現在もオランダのナショナルカラーはオレンジ色なのだ。
しかし、なんで南国の果物の名前がヨーロッパの王族の家名になっているのか? 皆さんの中には不思議に思われる方もいるだろう。しかも、オレンジなど育ちそうもない痩せた土地の王国である。その話は16世紀まで遡ることになる。
オラニエ公ヴィレムは、もともとドイツの名門ナッサウ家の出である。16世紀に姻戚関係により、男系の絶えたオランジュ(Orange)公国の公位を引き継ぎ、オラニエ公と呼ばれるようになった。
オランジュ公国は南仏プロヴァンス地方の公領で、かつてはオレンジの売買が盛んだったところらしい。オレンジで潤った公国の紋章はオレンジの樹に角笛。その意匠は、現在のオランジュ市の市章に受け継がれている。オランダ代表のオレンジ色の出自は、フランスにあったことになる。
ちなみに、現在の三色旗もオラニエ公ヴィレムの紋章に使われていた3色を使用して、後の時代に作られたものだ。