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サッカー本の「診察室」を開いた理由。『夢想するサッカー狂の書斎 ぼくの採点表から』佐山一郎氏インタビュー(その1)

text by 宇都宮徹壱 photo by Tetsuichi Utsunomiya

「診察室」としての責任感や愛情がなければ、なかなかできない

──本当にびっくりするくらい、出ていますよね?

佐山 2006年のドイツ(ワールドカップ)でジーコ・ジャパンがグループリーグで敗退したときに、サッカー・メディアも一気に沈滞したことを思えば、なおさらびっくりですよ。まあ日本代表の趨勢にその都度左右されるというのもどこか哀しい話だけれど。

──とりあえず、技術系のハウツー本を外すという判断は正解でしたね。そっち方面の本もかなり出ていますから

 そうですね。とりあえず、ハウツー本や技術系は外すという形でやりましょうということで、最初は佐山さんの他にも何人か入れてやりたいですよね、という話はしていたのです。それで最初は10冊くらい、佐山さんにやっていただいたんですけど、あの世界観はなかなか他の人には出せないというか、本当に一冊一冊、魂を込めて書いていただいていたので。原稿をいただく時には「もうヘトヘトになりました」って(笑)。

佐山 気分はもう、荒行。最後の方は抜かれて追いつけない日本代表の某ディフェンダー状態になりました(笑)。

──佐山さんご自身は「本の診察室」って書かれていましたけれど、これは言い得て妙だなと思いました

佐山 ああ、それは、まえがきを書きながら思いついただけで、最初からそういうコンセプトだったわけではないんです。でも「診察室」としての責任感や愛情がなければ、なかなかできないとは思います。あるいは、変態偽医者のやるお医者さんごっこ的な面もあるのかなと(笑)。

 医者も親身になりすぎると、患者の精神的なダメージが伝染するみたいですよ。

佐山 そうだよね。お医者さんほど予防注射打ったり、薬を飲んでいる人はいないっていうからね。

【その2へ続く】

提供:徹マガ(佐山一郎氏へのインタビュー以外は次号170号に掲載されます)

サッカー本の「診察室」を開いた理由。『夢想するサッカー狂の書斎 ぼくの採点表から』佐山一郎氏インタビュー(その1)

『夢想するサッカー狂の書斎 ぼくの採点表から』
定価1995円

史上初の サッカー本書評集!
【目次】
第1部 球を捨てよ、本屋さんへ行こう
第2部 02年 から06年まで
第3部 オシムの時代から10年まで
第4部 サッカー版「ぼくの採点表」全88冊 2012~2013
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