「診察室」としての責任感や愛情がなければ、なかなかできない
──本当にびっくりするくらい、出ていますよね?
佐山 2006年のドイツ(ワールドカップ)でジーコ・ジャパンがグループリーグで敗退したときに、サッカー・メディアも一気に沈滞したことを思えば、なおさらびっくりですよ。まあ日本代表の趨勢にその都度左右されるというのもどこか哀しい話だけれど。
──とりあえず、技術系のハウツー本を外すという判断は正解でしたね。そっち方面の本もかなり出ていますから
森 そうですね。とりあえず、ハウツー本や技術系は外すという形でやりましょうということで、最初は佐山さんの他にも何人か入れてやりたいですよね、という話はしていたのです。それで最初は10冊くらい、佐山さんにやっていただいたんですけど、あの世界観はなかなか他の人には出せないというか、本当に一冊一冊、魂を込めて書いていただいていたので。原稿をいただく時には「もうヘトヘトになりました」って(笑)。
佐山 気分はもう、荒行。最後の方は抜かれて追いつけない日本代表の某ディフェンダー状態になりました(笑)。
──佐山さんご自身は「本の診察室」って書かれていましたけれど、これは言い得て妙だなと思いました
佐山 ああ、それは、まえがきを書きながら思いついただけで、最初からそういうコンセプトだったわけではないんです。でも「診察室」としての責任感や愛情がなければ、なかなかできないとは思います。あるいは、変態偽医者のやるお医者さんごっこ的な面もあるのかなと(笑)。
森 医者も親身になりすぎると、患者の精神的なダメージが伝染するみたいですよ。
佐山 そうだよね。お医者さんほど予防注射打ったり、薬を飲んでいる人はいないっていうからね。