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サッカー本の「診察室」を開いた理由。『夢想するサッカー狂の書斎 ぼくの採点表から』佐山一郎氏インタビュー(その1)

text by 宇都宮徹壱 photo by Tetsuichi Utsunomiya

書き手にとっての50代というステージ

──どうもご無沙汰しております。今日、伺う前に近況を知りたくて佐山さんのブログを久々に覗いてみようとしたんですが、アクセスできませんでした。もう閉じてしまったんでしょうか?

佐山 ああ、ハッカーが入って来るんですよ。そろそろ復旧すると思うんですけどね。IT部門の相棒によると、今あちこちで被害続出のソフトウエアを使っているためなんだとか。彼は僕より13歳も若い、宇都宮先生と同じ47歳の優秀な人なんだけど、同世代や上の世代を見渡すと自分を含めて、もう、そっち方面が苦手な人ばっかりで……(苦笑)。

 雑誌不況の流れに関しては、予測も確認もできたけれど、IT革命にも対応しなければならなかったのは、言ってみれば紙と電子との並列化。時間を奪われるという点では、ちょっと誤算で厳しかった。それが、まあ、正直な感想です。

──佐山さんでも、そうお感じになりますか。ちょっと意外です

佐山 あとはライフステージとしての親の介護ですね。「失われた」とまでは言わないけれど、50代の10年は出版不況とIT革命への対応、それとプライベートでの介護と相続問題。介護については、今年の1月に母を亡くしたことで終わったんですけど、やっぱり母親がいなくなると、心のどこかにぽっかり穴があくというか。

──そうでしたか。あらためてお悔やみ申し上げます

佐山 その後の事後処理もまた大変でね。で、なんとか目処がついて「仕事するっきゃないな」と思うようになったんです。久々にフルタイムで仕事がやれる喜びというのもありました。今回の書評集も、そうした中でやらせていただいたというのが、近況といえば近況ですね。

「50代は結構大変だよ」ってこと、あまり上の世代から聞かされないでしょ? 避けられない現実としてのステージに差し掛かっているんだ、覚悟はできてますかってことは、もっとアドバイスされたほうがいいと思いますね。

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