最近の成功例はリバプールのスアレス
これは選手の距離感から生まれたもの。よりコンパクトに戦う日本代表は選手間の距離が近く、ワイドに戦うエールディビジでは選手間の距離が遠い。それがピッチの上の景色の違いとなって現れたのである。
この景色の違いを本田は、「オランダでは一対一をかわせばおいしいスペースが生まれる」と解釈。ともかく一対一で確実に抜けるような選手になろうと、1人をしっかり抜き去る技術を磨いた。さらにゴールを量産することでスカウトの目を引き付け、付加価値を上げてCSKAモスクワへ移籍。VVVに大金を残していった。
選手Cはこう説明する。
「エールディビジはチームというよりは、選手個人として成長し羽ばたいていけるリーグ。ミスが許されるリーグだから、どんどん自分の特徴を出して仕掛けていってアピールする。アヤックスだって選手は若い。
だから日本人も若くて個人技に自信がある奴は、どんどん来た方がいい。Jとは全然サッカーの質が違う。(エールディビジは)守備は組織の面では劣るが、ヘディングだとか、一対一の場面が多いから反転とか、そういう部分を磨けるんじゃないか」
オランダのサッカーファンも時おり、「エールディビジはレベルが低いんじゃないか」ともらすことがある。しかしベルギー人の指導者プロドーム(元トゥエンテ監督)は「オランダリーグは見ていて面白い。もっと自信を持った方がいい」とオランダ人に言い、ユトレヒトに今季加入したスウェーデン人たちも「我々はエールディビジをステップアップの場として見ているんだ。オランダ人ももっとそこを理解すべきだ」と言う。
最近の成功のモデルケースはFWのスアレスだ。フローニンゲンに発見され、アヤックスにステップアップ。ウルグアイ代表ではW杯4位となり、リバプールへ夢の移籍。さらにはコパ・アメリカを制した。今日もエールディビジには第2のスアレスを夢見、タレントたちが集まってくる。
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