そもそも問題の原因を特定できているのか?
――そこが曖昧というか……。2ステージ制を復活させて、チャンピオンシップを含めたポストシーズンを地上波テレビで放映すればスポンサーがついて10億の収入が見込めると言っていますが、それによって人気が回復するのでしょうか。
「大事なのは何が問題なのかということ。すべてのことに原因があり、因果関係がある。ロジックというのは因果関係。相関関係とも違う。その因果関係が正しいかどうか、そこを議論すべき。そもそも何が問題だと言っているの」
――観客動員数の伸び悩み、地上波テレビなど試合中継の露出の低下、スポンサー離れなどを懸念しています。
「どれも問題でしょう。じゃ、2ステージ制にして観客動員数は増える? ドラッカーが言う『成果を定義する』の基準は2つあって、1つは数値、もう1つは時間。戦略というものには優先順位とタイムラインがある。
と同時に、ある一定期間のなかで成果を出そうとすると、あれもこれもやっちゃダメよという常識がある。これはフルスペックの誤謬と言って、欲張るとロクなことがないということ。最優先の事項を決めて、クリアできたら次と考えないといけない。要するに松竹梅。
もう1つは、これはサッカー界に限らず日本全体の問題だけど、成果を定義しないと責任の所在があやふやになる。『善処します』は主観的な言葉で、実際にしたかどうかは本人にしか分からない。善処したけどダメだったということはよくあることで、それは経営学的にはロジックがないのと同じ。
とにかく、観客動員数を増やしますではダメ。何年後に何割という具体的な数値を明示しないと」
――J1の平均入場者数が一定目標に到達した時点で、理想の形である18チームによる1ステージ制に戻したいと言っています。
「もっと具体的じゃないと意味がない。再来年から2ステージ制を始めて、3年後に観客動員数を20%アップします。これは経営的な成果の定義としては正しい。つまりモノサシ。成果を定義して、それを計るモノサシを提示しなければいけない。
それがコーポレート・ガバナンス(企業の不正を防止し、競争力や収益力の向上により企業価値を高めるための経営の仕組み)でしょ。ゲームのルール=モノサシを提示しない限り、どちらが勝ったか分からない。つまり、経営責任を果たしていないことになる」
続きは『サッカー批評issue65』にて、お楽しみ下さい。