経営・構造・体質の側面から浮き彫りにする
2ステージ制の復活を決定したJリーグが抱える問題を、経営・構造・体質の側面から浮き彫りにする。それが今回のインタビューの狙いだった。
1999年から4年間、経営諮問委員としてJリーグの運営に一役買った経験があり、『サッカービジネスの基礎知識――「Jリーグ」の経営戦略とマネジメント』などの著書を持つ広瀬一郎氏なら、的確かつ建設的なアドバイスをもらえると考えたのだ。Jリーグ理事会の審議の進め方、サポーターとの向き合い方、さらには観客動員数を増やすための具体案に至るまで、明るい言葉を聞き出せるかもしれない。僕自身が経営の”けの字”も知らない身であることに目を瞑り、待ち合わせ場所の六本木ヒルズへと向かった。
ところが、こちらの思惑は早々に崩れてしまう。
「大前提として、経営や戦略はロジック。今回の2ステージ制にロジックがある?」
1時間半に及んだ希望の見えない暗澹たる講義は、そんな問題提起から始まった。
「僕の立場は、経営諮問委員をやってもいたのでビジネスマネジメント側ですね。当然、電通にいたわけだからメディア問題、スポンサー問題を主としたマネジメント、経営面を話すのが筋だと思います」
――よろしくお願いします。
「大前提として、経営や戦略はロジック。ここで議論をする、取材を受けるということに関してもロジックがなければ文章にならない。そこで今回の2ステージ制は、どのようなロジックなのか、という話になる。
チェックポイントは2つ。Jリーグは2ステージ制を導入することで何を解消しようとしているのか、何を獲得しようとしているのか。そこがポイントの1。
ポイントの2は、2ステージ制にすることで解消しようとしている問題を解決し、獲得しようとしている成果を得られるのか。議論しなければいけないのは、この2つだよね。ここまで言うと結論が見えちゃうけど、Jリーグは果たしてそのような問題設定をしているのか、ロジックがあるのかということでしょう」