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鉄人の声を聞け プロ20年目の達観――服部年宏(FC岐阜)

text by 海江田哲朗 photo by Kenzaburo Matsuoka

「楽しかったね。負ける気がしなかった」

――Jリーグフィーバーの記憶を辿ると?

「Jリーグがスタートする前の年、ナビスコカップがありましたよね。そのときの記憶が強烈。日本平にエスパ(清水)の試合を見に行ったら、スタンドが熱狂的でびっくりした。へえ、こういうサッカーの観戦スタイルがあるんだと。こう言っちゃ失礼ですが、右も左も分からない人たちがひたすら一生懸命やっていたと思うんです。それJリーグだ、やれ応援だとね」

――無軌道に放射されるエネルギーのすごさ?

「そんな感じ。とにかくお客さんの熱気に圧倒された。おかげで試合内容はきれいに憶えていない」

――94年、服部選手は磐田に加入します。

「知人友人からチケットを頼まれ、どうにもならずに断った記憶がかなりあります。選手が自由になるのは、独身のぺーぺーで1試合につき2枚だったかな。若手数人が集まり、『この試合と交換してよ』とチケットを融通し合っていました」

――01年から02年にかけて、磐田は黄金期を迎えました。

「楽しかったね。負ける気がしなかった」

――現在のJリーグでも強さを発揮できると思いますか?

「どうだろう。サッカーのリズムは全然違う。今のJ1は速い攻めになると本当に速いから。あの頃にはなかった速攻がある。当時の磐田は守備がよかったですよ、守備が」

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