現場で携わってきた自分からすると賛成せざるを得ない
──2ステージ制の復活で危惧されるいくつかの点について、お聞きしたいと思います。まずは消化試合が増えるのでは、という疑問について。
「第1ステージで優勝の可能性がなくなり、なおかつJ2降格の危機もないといったチームの監督は、第2ステージを見据えた色々なトライができるし、実際にするだろうね。ただ……」
──ただ?
「残り3、4試合で優勝争いをしているチームと、降格を気にせずに第2ステージを見据えたチームの間で、モチベーションの差が大きくなる」
──それはつまり、消化試合が増える可能性を秘めているわけですよね。
「……(苦笑)。第1ステージで優勝争いに加われなかったチームは、いい意味でリセットできる。それは、現場から見た2ステージ制のメリットにあげられる。一方で、第1ステージ終盤から調子を上げていったチームは、そのままやりたいだろうね」
──でも、一度流れを断ち切られてしまう。西野さんが指摘するリーグ戦の本質と、ここでも乖離してしまいます。
「そのタイミングにピーキングが来るチームも、絶対にあるだろうから」
──痛みを抱えた主力選手には、無理をさせないといった処置も?
「第1ステージで優勝の可能性がなくなれば、そういう選手を無理に引っ張ったりはしないでしょう。個人的にはどうかなと思うところで、リーグ戦本来の戦い方からかけ離れるよね。様々な思惑が働く。1試合1試合の積み重ねで、優勝を争うことにはならない」
──即戦力が重用されるという指摘については?
「当然そうなっていくと思う。育てながら勝つという猶予は、与えられないだろうし。それこそ、ステージ優勝の望みが絶たれて、なおかつJ1残留も決まったら、経験を積ませる選手起用もできるけれど」
──水曜日開催が増えることは?
「水曜、土曜の日程が1か月続いたら、確かにキツい。リカバリーだけで修正の時間が確保できないから。でも、水曜開催が一週間おきぐらいなら問題ない。それぐらいのほうが僕はいい」
──お話を伺っていると、2ステージ制に消極的賛成というのが西野さんのお立場ですね。
「大局的には後退感が否めない。1シーズン制のなかで違う打開策はなかったのか、という思いはある。ここ数年のJ1は各チームの力が拮抗して、やっと面白くなってきたなあと感じていた。
それなのに2ステージ制に分けてしまうのは……。ただ、現場に携わってきた自分からすると、賛成せざるを得ない。ビッグクラブと呼ばれるところでさえ、想像以上に厳しいんだ」
続きは『サッカー批評issue65』にて、お楽しみ下さい。