カゴメが「再生」にこだわる理由
「詳しくお話をする必要がありました。我々には『再生』にこだわる理由があるんです。あの震災が起きたとき、忘れかけていた『絆』という言葉が日本中に駆け巡りました。共助の絆がすごく大事なんだと。カゴメにとって東北は原料を生産してくれる場所でした。ところが震災によって被災し、2011年は原料を生産できなかった。海外から輸入すれば済む話ではありません。トマトをつくれないとカゴメがトマトジュースをつくれない。
カゴメがトマトジュースをつくれないと消費者は飲めない。それまでの日常に当たり前のようにあった“つながり”をいざ失ったとき、改めて気づかされたのです。これは共助の関係、絆そのもので、我々は震災後そのつながりをより大事にしたいと強く感じてきました。『東北の再生は我々の事業に深く関係しています、サッカーによって社会に希望を与えませんか』という話をしたとき、ようやくマンチェスターU側にも『そういうことであればぜひ協力したい』と賛同して頂いたのです」
カゴメは東北でのマンチェスターUのサッカースクールを今後3年間続ける予定。「社会の再生」と「人の再生」を軸にプロジェクトを推進していく考えだ。
「サッカーというスポーツを媒介にして食生活の大事さを訴えることができると考えています。トマトには疲労の軽減効果があって、スポーツ選手にも適しています。今後、トマトと運動の研究を更に進めていきたいと考えています」
世界的なサッカークラブと健康をテーマに活動の幅を広げる企業のコラボレーションは、さまざまな可能性を感じさせる。今後の展開に注目したい。
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