フッキを連想させるモスキート
古臭い表現であるが“ゴール前で勝負できる”本格派はなかなか現れず、特に前線でのポストワークが多く求められる現在は、ストライカーらしいストライカーが育ちにくい環境となっている。しかし、このモスキートは相手のディフェンスに起こりうる“カオスの芽”を見極め、絶妙のタイミングでそこを突いていける正真正銘のストライカーなのだ。
U-17になり、体格も良くなってシュート力もアップした。その風貌は現役のブラジル代表であるフッキを連想させる。
“モスキート”という名前の由来に関してアレシャンドレ・ガロ監督は「良く知らないけど、蚊の様に厄介な動きをして、刺してくるという意味だろうね」と、顔を平手で叩く表現をしながら説明してくれたが、現在は同じ“モスキート”でも強いて言えば、第二次大戦でイギリス空軍が使用した偵察型の爆撃機の方が連想しやすいかもしれない。
しかし、このストライカーも大会が進むと相手のマークが厳しくなり、“縦のホットライン”を組むトップ下のナタン、ウィングから鋭いカットインを見せ6得点をあげたボシーリアの方が目立つようになった。それでも一瞬でディフェンスの懐に飛び込み、ラストパスを呼び込む動きは末恐ろしい輝きを放っていた。
課題は体の成長と共に身に着いて来たパワーに頼ることなく、ビジョンを研ぎ澄ませながら周りの選手をどう使って、いかに自分が最後に得点できる間合いに持っていけるかだろう。それをプレッシャーの厳しい相手になるほど発揮できる様になれば、上のカテゴリーでも得点を量産し、“セレソン”の次代のエースを狙っていく存在になるだろう。
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