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代表 11年前

将来のバロンドール候補か。U-17W杯で輝きを放ったタレントたち

text by 河治良幸 photo by Kenzaburo Matsuoka

空間を使えるスアレス

 目を見張ったのがラウンド・オブ16のチュニジア戦だ。70分に交替で登場したスアレスは後方からのロングボールを巡り、ピタリとマークしてきた相手をファーストタッチで鮮やかにかわしながら、内側を追い越す味方にパス。

 そこから瞬時に走りだしてリターンを受け、ペナルティエリア内まで進出した。最後は体を張ったGKとDFに阻まれたが、ボールが来る時間、受けるタイミング、味方の動き、その後の流れを一枚の絵に描く様だった。

 例えば左足から繰り出すスルーパスも、ただ正確なだけでなく味方のタイミングと守備の動きを読み取っていることを感じさせる。オフ・ザ・ボール時に流れを観察しながら、相手の守っていないところに入り込む予測力とセンスも非凡だ。

 空間をうまく使える選手は少なくないが、そこに時間を融合させて相手の守備を掻いくぐっていける選手はトップリーグでもシャビ、イニエスタ、ピルロなど数少ない。

 それでも正面のマンツーマンになると潰されてしまう、あるいは自由にできない場面は相手のレベルが上がるほど増えており、将来性は保証できない。ただ、伸びしろを見るならばタレントが豊富なこの大会にあっても、バロンドール受賞者になりうる素材としては三本の指に入れたい選手だ。

◎モスキート(ブラジル)

 開幕戦でスロバキアを相手にハットトリックを達成。正直、この時点で筆者は「これはモスキートの大会になるぞ」と確信に近い思いを抱いてしまった。

 というのも、彼に関してはU-15の時にウェブの映像をつぶさにチェックし、大手の海外サッカー専門誌で“未来のスーパースター”としてピックアップしたことがあったのだ。

当時の感想は「久々にロマーリオの様なストライカーが出てきたな」というもの。もちろんこれまでブラジルは良いFWを輩出してきたし、“怪物”ロナウドの様な格では94年W杯でMVPに輝いた英雄に匹敵する選手もいた。

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