縦へのドリブルで生んだ二つの決定機
開始早々の7分、左サイドでボールを受けた香川は、いつものようにゆっくりとボールを持ち出し、カットインしようとしていた。するとソシエダMFマルケル・ベルガラは完全に香川のドリブルのコースを読み、体を入れてボールを奪いきった。あっさりボールを奪われるわけにはいかない香川は、苦し紛れにファールでベルガラを止めてプレーは一旦途切れた。よくないシーンだ。
しかし、このシーンを経て香川は心のどこかで「カットインを読まれているな…」そんな風に思ったのかもしれない。その後、積極的な「縦へのドリブル」という香川にしては珍しいプレーを選択し、いくつもチャンスを演出した。この「縦へのドリブル」による決定機は二つあった。
一つ目は38分、左サイドでボールをもった香川は、「縦へのドリブル」で相手のタイミングを外して、抜ききらない内に左足でグランダーのクロスを送る。そのクロスにこの日先発出場していたチチャリートがニアに飛び込んだ。ギリギリのところでチチャリートの足には届かなかないものの、あと少しで得点が決まりそうな惜しいシーンだった。
二つ目は50分。右サイドでボールを持ったバレンシアがクロスを送ると、そのボールはファーで待ち構える香川の下へ。そのロングボールを左足でトラップすると、右足でゆっくりと「縦へのドリブル」で運びながら、ボックス内で左足を用いて相手の股を抜くグランダークロスを送る。
そのクロスはチチャリートの足下に綺麗に向かい、チチャリートはダイレクトでシュートを放つも枠外に。こちらは、チチャリートが外してはいけないシーンだった。
いずれにしても香川のパフォーマンスがよかったのは変わりない。特に二つ目のシーンに関してはもう一つ注目したいポイントがある。それは、バレンシアからのクロスがきた時のトラップだ。