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香川真司 11年前

香川真司がマンUから移籍しない5つの理由

シリーズ:フットボール母国の神髄 text by 森昌利 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

理由【5】大物選手を獲得出来ない状況

 もちろん、毎試合見たいという香川ファンの気持ちは痛いほど分かる。僕に限らず、取材に訪れる日本人記者団はみな同じだが、そうしたファンと同様、チームシートに香川の名前がなければ非常にがっかりする。

 たぶん、香川はそういう日本の大きな期待を分かっているのだろう。だからどんなにいいプレーをしても、ゴールという結果に結びつかなければ、絶対に自分に及第点を与えない。「もっともっと」という言葉を呪文のように唱える。

 無論それでも、1月1日の移籍解禁で、モイーズ監督がセスク・ファブレガスやアスレティック・ビルバオのMFアンデル・エレーラを獲得した場合、状況が悪化する可能性はある。

 ただし、本来大物移籍はなく、不足を補うという補強が多い1月に、この2人を獲得できるのかどうかは大いに疑問。今夏に失敗した時点で、獲得はかなり厳しくなっているのではないか。しかも移籍金はセスクが4000万ポンド(約64億円)、エレーラが3500万ポンド(約56億円)と言われ、非常に高額である。

 まあ、冒頭紹介した表現を使えば、セスクやエレーラの獲得話は現在のところ“Anything can happen in football”の範疇。不確実な噂の段階にすぎない。

 1月のことはともかく、僕は現在の香川に「移籍」という迷いはないと見る。チームのプレースタイルとの共存、ポジション問題と、日本のナンバー10に不利な状況は確かにある。が、今の香川はその苦難を持ち前の負けん気とスキルで乗り越え、ただひたすらゴールという結果を追い求めながら、ユナイテッドの中核になることを目指しているのだ。

【了】

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