理由【1】非常に疑わしい情報源、理由【2】マンUというクラブ
今週月曜日(11月4日)にも、日本で香川の移籍報道が出た。元ネタになっているのは『サンデー・ピープル』という日曜紙の記事だった。その中身を読むと、「来年のW杯を目前にして、香川は試合勘が鈍ることを嫌い“移籍を考えている”とチームメイトに伝えた」という内容だった。
まず、疑わしいのは、サンデー・ピープルという新聞そのものだ。英国では新聞の女性読者も多く、日曜紙はそういった女性も対象にして、週刊誌的なコンセプトで作られているものも多い。その中でもピープルは、芸能人のゴシップを中心にした「女性週刊誌的」な新聞だ。
ちなみにこの香川の移籍記事が出た11月3日付の一面は、英人気テレビのダンスオーディション番組に出ている女優が、他の出演者に「ダンスがうまくない」と、いじめにあっているという話だった。サッカーに関する記事もかなり怪しく、井戸端会議のネタとしてならいいが、個人的にこの新聞の情報は全く信用していない。
またこの記事では、「チームメイト」が香川移籍のニュースソースになっているが、これは現場で取材をしている限り、まずありえないと言える。ユナイテッドというクラブは、所属選手に対し、非常に厳しい取材規制をしている。そのひとつに、他の選手についての言及の規制がある。
例えば、新スポンサー発表会見などで、香川と話す機会が与えられる際、質問は事前にチェックされ、他のユナイテッド所属選手に関して香川の意見を求めるような質問は、大抵の場合削られる。そんな管理を受けているユナイテッドの選手が、香川の移籍について「本人がそういっていた」とどこかの記者に漏らすなど、ちょっと考えられない。
また、『メトロ』という新聞が香川の移籍を伝えているという記事もあったが、メトロは主に地下鉄構内で無料配布される新聞で、掲載されている記事を読んでも独自の取材をしているという雰囲気はあまりない。どこかにいるのかも知れないが、実際にこれまで、スタジアムで「メトロの記者だ」という人に出会ったこともない。