監督自身が魅了された圧倒的な攻撃力
始動直後から、守備組織の改善を最優先課題に掲げたこともあり、守りに軸足を置いていると見られがちな長谷川監督だが、チームを率いるうちに大阪の「イケイケ集団」が持つ破天荒な魅力に取り付かれ始めてきたのもまた事実である。
不用意な失点には妥協を許さない姿勢に変わりはないが、先制されながらも前線の破壊力であっさりとひっくり返す「力技」を見せた夏場には「今は先制されても取り返す力がチームにある」と語る。
自らが指揮を執るようになって初めて実感した個のポテンシャルの高さが、あったという。その象徴が「貴史の得点力を一番前で活かしたかった」というFW遠藤シフト。万能の背番号7を宇佐美のパートナーとすることで、背番号39にフィニッシャーとしての意識を持たせたのだ。
「得点力も落とさずに戦えた。まあ、大変でしたけど、楽しかった」という言葉は、難しいミッションを為し遂げた将の率直な重いだろう。
しかしながら、長谷川監督の真価が問われるのが「昇格組」として挑む来季のJ1だ。足がかりの見えてきた世代交代を逆行させることなく、なおかつ攻撃的なスタイルでいかに勝利をつかみとるのか――。
攻撃サッカーの復権は、まだ道半ばに過ぎない。
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