崩した序列。ポジション争いの激化が良い方向に
カウンターを受けるリスクが常に付きまとう攻撃的なスタイルに、最低限の守備意識こそ植え付けたものの攻撃面に関しては、従来のスタイルを基本的に継承。G大阪が西野朗元監督時代に確立した攻撃的な姿勢を、長谷川監督は決して崩そうとはしなかった。
一方で何のためらいを感じることもなく、崩し切ったのがチームにあった「序列」。背番号10を託される二川孝広もコンディションが万全でなければ、容易に先発から外し、大森晃太郎ら若手を積極的に起用するなど、チーム内のぬるま湯は一掃した。
「ベテランや実績ある選手が機能していれば昨シーズン降格することはなかった。少し今までの実績で慢心があったのかもしれない。ただ、若手をあえて使おうとは思っていなかったし、新陳代謝というよりは、戦えるいい選手をという思いが強かっただけ」
横一線の競争意識の徹底を図った指揮官の起用法は、図らずとも大森や内田達也、さらには岡崎建哉らの台頭を招いた反面、熊本戦で「若手に負けていられない。試合に出るこだわりはある」という二川の輝きももたらした。
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