苦しいゲームで勝ち点を拾っていくことが出来るか
内田がボールを持ったとき、ディフェンスをするときに、ゲームが破綻するような事態を招くこともなく、そのような状況にも陥らなかった。
ということは、内田が刻一刻と移り行く局面の中で、自然とシンプルで確かな決断を下し続けていた、ということだ。そして何よりそれがCLのアウェー、チェルシー戦で行われていたことは、やはり特筆すべきことなのではないだろうか。
CLのグループリーグを折り返した時点で、冒頭の問いに対し、内田はこう答えてくれた。
「バーゼルのアウェーはやっぱり耐えることが出来たし、ああいう試合が出来れば、勝ち点を拾っていく、っていう意味でも集中してやれたから、あれは一番意味のあるというか、ああいう、我慢出来るサッカーが出来ればいいかなと思いますけど。アウェーで我慢出来る試合が出来れば、チームとしても調子は上がっていくと思います」
31分にエトーが奪った先制ゴールでゲームのバランスを崩してしまったシャルケは、奮闘したものの、残念ながら0-3のスコアで完敗してしまった。しかしCLのグループステージはまだ続いていく。
内田の言うように、次戦のステアウアとのアウェーで我慢出来る、勝ち点を拾うゲームが出来れば、グループリーグは十分突破可能であるし、そういったゲームが出来る可能性も十分高い。
シャルケ、そして内田にとって、今は苦しい時期かもしれないが、地中に根を張り、力を蓄えているときとも言えるのではないだろうか。開幕直後は15位まで落ちたリーグ戦も、6位まで浮上している。
朗報がない訳ではない。CBのパパドプロスはトレーニングに戻っており、本遠征に帯同した。ファルファン、フンテラールも時期は未定だが、いずれ戻ってくるだろう。ウィンター・ブレイクまでは厳しい戦いが続いていくかもしれないが、後半戦に突入し、戦力が整えば、そのときはやってくるはずだ。
一見モノクロに映る光景の中に、一輪の花が咲き、風景が色鮮やかに蘇るときが。
【了】