苦戦が続いているボーフム
チームの状況は、あまり芳しくないようだ。
「僕的には、もう最悪の試合内容ですけどね」試合のあと、田坂祐介が言う。ほんの一瞬、怒気が顔を覗かせた。
田坂の所属するVfLボーフムは、ブンデスリーガ2部13-14シーズンの第11節を終えた時点で、順位を16位につけていた。2部も1部と同様、シーズン終了時に17、18位は3部に自動降格となる。16位は昇降格プレイオフに臨む。目下対戦成績は3勝2分6敗で、第8節のVfRアーレン戦から4連敗中だった。
これ以上の連敗は避けたい。その一戦をボーフムは、ホームで迎えることとなった。相手は、昨シーズンを3位で終え、昇降格プレイオフで1部のホッフェンハイムと死闘を演じ、11節終了時に4位と上位につける、カイザースラウテルンだった。
10月28日20時15分、秋風が吹く月曜日の夜、照明に灯がともるレヴィアパワー・シュタディオンの7割は青と白のボーフム側だったが、より気勢を上げていたのは、カイザースラウテルン側が占める深紅の一角だった。
そのままの勢いで、序盤、カイザースラウテルンの攻勢が続いていく。CFのモハマドゥ・イドリスを中心に、ボーフムのゴールを幾度も脅かした。5分、エリア内でガウスが落とす。イドリスがシュートを放つ。枠の上に逸れる。
7分、右サイドからマトムールがクロスを入れる。イドリスが飛ぶ。わずかに合わず。11分、マトムールがドリブルで切れ込み、シュートを放つ。ポストが弾く。弾かれたボールは、田坂が、かろうじてクリアした。
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