ドイツの小学校には校庭がなく、国策によって地域にスポーツクラブを無数につくってきた。一方、日本には日本の文化や歴史があり、Jリーグは日本の責任企業が母体となって「オリジナル10」をつくって開幕した。瀬田さんは「それは日本の大きな財産」という考え方をしている。
「Jリーグのクラブは株式会社が多いのだと思いますけれど、基本的にはそのクラブで働いている方の生活が保証されています。が、ドイツはフェライン(=協会)、つまり、クラブの会員には見返りを求めずになるものという考え方が主流なんです。
だから、あまり稼ごうという目的で入ってくることはできません。フォルトナの場合でいえば、トップチームとU23のセカンドチームの監督まではそれなりのサラリーをもらえますけれど、U19以下のユースやジュニアユースのコーチ陣は月に2~3万円をもらえる程度。
ブンデスリーガのクラブによってはサラリーをもらっていないコーチもいると思います。それくらい生計は立たないものなんです。
では、なぜそこで働くのかといえば、クラブのアイデンティティだったり、ステイタスだったり、指導者になりたい、勉強したい、そういう思いがあるから。
日本ではJクラブに経営母体があって生計を保証してもらいながら(経営母体のない市民クラブであっても保障されている)、コーチ陣がそこでサッカーを学びながらキャリアアップすることも可能です。日本にサッカー文化を作っていくという意味で、Jクラブは非常に存在意義があるものだと思いますね」
【了】
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