ロナウジーニョを拒んだ理由
ドゥンガのブラジル代表監督時代は、彼の現役時代と同じように、気まぐれな天才たちとの対峙だった。そして、ブラジル国内メディアは、勝利を重視し地道な手法をとるドゥンガよりも天才たちを偏愛した――。
代表監督就任直後の試合で、ロナウジーニョをベンチに置いた。それ以来、2人には常に距離があった。2008年の北京五輪では彼を招集したものの、チームは優勝したアルゼンチン代表に敗れた。そして2009年4月のW杯南米予選対ペルー戦以降、ロナウジーニョは代表に招集されることはなかった。
W杯南アフリカ大会直前、ACミランで輝きを取り戻しつつあった、ロナウジーニョを招集すべきだという声がブラジル国内にはあった。
ドゥンガを良く知る元横浜フリューゲルスのエドゥー・マランゴンはドゥンガが重用していたエラーノを引き合いに出して、その可能性を否定した。
「ロナウジーニョは天才だ。モンスターだ。ただ、この間のレオナルド(元鹿島、当時ACミラン監督)のインタビューを見たかい? ロナウジーニョは飲酒で多くの問題を起こしていると言っていた。バルセロナでも同じだった。だから放出されたんだ。
ドゥンガの性格を考えれば、わざわざ他の選手を入れて、ロナウジーニョを入れることはないね。ロナウジーニョはエラーノよりもテクニックがある。ドリブル、シュートも巧い。しかしエラーノはロナウジーニョよりもセレソンのスピリットを持っている」
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