工藤が下がったのも狙い通り
ネルシーニョ監督としてはプラン通り、いや、前半は0-0でも切り抜けると考えていたらプラン以上の前半である。
これによって柏はそれまで通りの守備に重点を置いた戦いを貫き、後は前線のレアンドロ、クレオを起点にしたカウンターで、浦和がリスクを冒して攻めてくる背後を突いていけばいい。そこで2点目を奪えれば、ゲームを終わらせることができる。ブラジルの智将が思い描くシナリオで着々と試合は進められていく。
予想通り後半の浦和は攻め手を強めてきた。森脇と槙野が積極的に攻撃に絡む。どちらかというと槙野の方が攻め上がってくるため、柏には工藤を槙野とマッチアップする右に入り、そして守備の負担を極力軽減させ、カウンター一発で相手を沈めるために、レアンドロを左に置いたという狙いがあった。
したがって、工藤は自陣に押し込まれる場面が多かったものの、「ディフェンスラインに下がっても、しっかり守備をするという強い気持ちでいた」(工藤)というように、ここの守備の仕方も狙い通りだったことが分かる。
1つ計算違いと言えば、藤田が前半で膝を痛めてしまったことで、後半からは本来は攻撃的MFの太田徹郎が右のウイングバックに入り、そこの守備で食い止めることができず、槙野、宇賀神、原口に柏の右サイドを突かれてしまう。
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