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震災を乗り越え全国大会へ。バラバラになった生徒たちを結んだ富岡高校サッカー部が作った絆

2日、全国高校サッカー選手権の福島県大会決勝が行われた。対戦したのは尚志高校と富岡高校。富岡は震災の被害が大きかった地域。生徒たちもバラバラとなり、学校にあるグラウンドでの練習も出来なくなった。入学が決まっていたにもかかわらず津波で行方不明となる生徒もいた。

text by 川端暁彦 photo by Akihiko Kawabata

震災の被害は大きかった富岡高校

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富岡高校・サッカー部【写真:川端暁彦】

 今年で92回目を迎える全国高校サッカー選手権。その都道府県予選が全国各地で開催中だ。11月2日には、福島県大会決勝が同県の鏡石町にて実施された。

 決勝に残ったのは、2008年度の初出場から計5度の出場を誇り、2011年度には全国四強入りを果たしている尚志高校と、2度目の出場を目指す福島県立富岡高校だった。

 富岡高校については少し説明が必要だろう。福島県双葉郡富岡町にあるこの高校は普通の県立校ではない。JFAアカデミー福島の創設に伴い、その受け入れ校となる中で単位制の高校として生まれ変わり、野心的なプロジェクトを推進していた学校だ。

 サッカー部の強化もその過程で進み、県内全域から選手が集まるようになり、その一期生が08年度には高校サッカー選手権に初出場。東北を代表する強豪校へと瞬く間に成長していた。サッカー以外にもバドミントンやゴルフなどに力を注ぎ、公立校の少し変わった取り組みとして全国的な注目を集めてきていた。

 その富岡高校に起きた悲劇、という言い方は不適切かもしれない。富岡のあった地域全体に悲劇が起きたのは、言うまでもなく2011年3月11日のこと。未曾有の地震と津波のみならず、原発事故という惨禍が小さな町と、そこに住む人々へ牙をむいた。

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