失点シーンはミスなのか?
浦和は柏に0-1で敗れ、10年ぶりのナビスコカップ優勝は叶わなかった。敗因は何だったのかというリクエストを編集部から受けたが、正直なところ「これが敗因」とはっきり言えるようなものはなかったと思う。
もちろん、負けたのだから、粗探しをすれば原因は必ず出てくる。ただ、戦術的に明らかな問題があったとか、絶対にやってはいけない致命的なミスがあったかというと、そこまでの問題はなかったように思う。
失点場面を見ても、クロスを上げさせたこと、中でマークが外れていたことなど原因と言えるものはあったが、どれも明らかなミスかと言えば、そうとも言い切れない事情はあった。
たとえば右サイドの藤田にクロスを上げられた場面では、確かに何人かの選手が指摘したように、藤田に対して1対2の状況になっていたが、その前の展開としてジョルジ・ワグネルの鋭いサイドチェンジがあったため、2人は少し遅れてマークにいかざるを得ない状態だった。
クロスを入れさせなければ失点はなかったかもしれないが、そもそもどんな試合でも90分間完璧にクロスを入れさせないようにするというのは現実的に難しい。
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