爆発的な攻撃力支えるナイジェリアの天才
今大会は10番を付けた選手に高いタレント性を感じさせる逸材が多い。先にあげたハリロビッチとナタンもそうだが、筆者が最も注目するのはアルゼンチンのレオナルド・スアレスだ。
大会登録の身長は162センチと非常に小柄だが、流れの中で生じるスペースとパスコースを読みながら中盤を動き、ボールを持てば手で扱う様な左足のタッチで守備者を翻弄しながら、意外なタイミングで絶妙なコースにスルーパスを繰り出す。
オーストリア戦では69分に登場すると、そこから全てのチャンスの起点となり、最後は鮮やかな切り返しから決勝ゴールを流し込んだ。クラシカルな“王様”タイプだが、守備意識の高さはボカの大先輩であるテベス譲りか。
グロンドーナ監督は限られた時間でしか彼を起用していないが、彼がいるといないではアルゼンチンの攻撃が全く変わる。フィジカル面に成長の余地は大きくあるが、近い将来にも、欧州のビッグクラブで10番を付ける資質を十二分に備えた選手だ。
爆発的な攻撃陣を誇るナイジェリアにはイヘアナチョという奇才がいる。伝説の名選手であるオコチャを彷彿とさせるボールタッチで、マークしてきた相手を手玉に取りながら、足首の返しを活かした変幻自在のパスで決定機を演出する。初戦では前回王者のメキシコを相手に自ら4得点をあげるなど、ストライカーとしての才覚にも恵まれている。
ナイジェリアは10代で期待されながら、大成できずに終わる選手は多いが、そのほとんどは身体能力を武器にしていた。しかし、このイヘアナチョはセンスがずば抜けており、アフリカを代表するスーパースターになる可能性がある。
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