少しずつ始まった新たな協力関係
逆に、これは5年前の話だが、日本サッカー協会の関係者が、代表への協力に消極的なクラブを「抵抗勢力」と揶揄していて思わず苦笑してしまったことがあるのだが、いまにして思えば、両者の関係が遠のいていることを象徴するエピソードだったようにも思う。
当時は浦和やG大阪がアジアで躍進し、日本代表は人気の低迷が懸念されていた時期でもある。いまとなっては本当に一過性のものだったわけだが、あのころは確実にJクラブ側のほうが勢いを増していたのだ。同じ建物で活動する両者が、その微妙な距離感の中で少しずつ関係性にギクシャクした部分が出てきていた。
もっとも、僕は勝手に両者の間での「雪解けの気配」を感じている。意見の対立があったと言っても、この二つが本質的に一蓮托生の存在であることはお互いに認識しているのだ。
たとえば、Jリーグが行ってきた育成部門への投資に関して、日本サッカー協会はサポートの意志を示し始めているし、東アジアカップでの“Jリーグ選抜”の活躍が国内の新規顧客創出につながったという好例もあった。
特に後者は、日本代表とJリーグの好ましい関係性の一つを示したものだった。同様の親善試合や大会参加などの可能性は是非模索してほしいし、それが雪解けを加速させるのではという期待もある。
個人的には、「Jリーグ選抜vs日本代表」のオールスターマッチをそのうちやってほしいと思っているし、東南アジア選手権(現在は『スズキ』がスポンサーとなり、『AFFスズキカップ』と呼称している)の日本代表(実質Jリーグ選抜)のゲスト参加といった奇抜な策すら、検討してみる価値はあると思っている。
【了】