Jが代表のために犠牲になる時代は終わった
日本代表とJリーグの蜜月はいつから終わってしまったのだろう。
いまでは考えられないことだが、かつては五輪期間でJリーグが中断されていたし、リーグ戦を犠牲にしてでもW杯アジア予選だろうと年代別代表の国際大会だろうと選手は供出され、Jリーグが日本代表を全力でサポートするのが当たり前だった。
いまそんなことをやったら、J各クラブから「なんで?」と言われてしまうかもしれない。「日本代表に協力することがJリーグの利益になる」と無邪気に信じられていた時代は、いつの間にか終わってしまったからだ。
Jリーグと日本サッカー協会の関係者の話し合いの席上、協会関係者から「日本代表が成功すれば、Jリーグにも恩恵があるのだから(譲歩しなさい)」といった趣旨の発言があり、それに対してJ側から異論が出たという話を、一昨年に聞いたことがある。
J側は2010年W杯における日本代表の成功が、Jリーグの起爆剤とならなかった事実を目の当たりにし、Jリーグが無条件で日本代表のために犠牲になれた「美しい時代」が終わったことを実感したのだという。
選手の多くが欧州クラブに所属するようになり、2014年W杯以後にその加速も決定的という情勢の中で、日本代表とJリーグの関係性はより希薄になっていくことが想定されている。
加えて日本経済の長期的な不振もあってJリーグそのもの、そして各クラブが軒並み財政的な苦境に立たされていることも、「日本代表との共存共栄」という言葉からリアリティーを奪ってしまったのだろう。
たとえば躍進を見せるU-17W杯での日本代表についても、それがJリーグにとっての恩恵になるかは何とも言い難いところだ。欧州クラブの青田買いのターゲットになるリスクが上がったという見方も(Jクラブ視点では)できるからだ。これについては、日本サッカー協会の関係者が「選手はどんどん海外に出て行くべき」という話をしていることも、J側は不信感を募らせていた。