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そこにいたファンはどこへ?話題を呼んだモウリーニョ退場劇。“家族席”観戦の知られざる事情

text by 山中忍

実は安価だったモウリーニョが座った席

そこにいたファンはどこへ?話題を呼んだモウリーニョ退場劇。“家族席”観戦の知られざる事情
ファンがツイートした画像

 その後の出来事はご承知の通り。カリスマ監督が隣に腰を下ろしたファンが、「OMG」で始めた写真付きのツイートは、続く1時間足らずで1万回以上もリツイートされ、世界中を駆け巡った。

 ところで、モウリーニョが移動した席にいたファンはどうなったのかという、素朴な疑問を抱いたのは筆者だけではなかっただろう。ほどなくして確認された答えは単純。元々、その列には空席があり、ファンは階段を上がってくるモウリーニョのオーラに押されるかのように内側へと詰めて、一番端の席を空けていたのだった。

 このベンチ裏に当たる東側スタンド1階席は、家族観戦用となっており、実際には大人だけでも子供だけでも観戦できてしまうのだが、他のスタンドに比べて料金が安い。ツイッター界で「にわかヒーロー」になったファンも、見た目は大人びていたが、実際は17歳の学生とのこと。

 料金カテゴリー「B」のカーディフ戦のチケット代は15.5ポンド(約2400円)で、対面の西側スタンド1階席の3分の1以下のコストであり、当日の都合で観戦を止めた者がいても不思議ではない。

 また、両軍ベンチと記者席に挟まれたトンネル両側の数列は、クラブが席を抑えている場合も多い。報道陣が増えるCL戦では「はみ出し記者席」として利用されるが、普段のリーグ戦でもクラブ所縁の人物が据わるケースが少なくない。

 往年の名MFで元助監督のレイ・ウィルキンスは常連。ジャンルカ・ビアリやジャンフランコ・ゾラといった、より近年の人気者もふらりと観戦に現れた際に、記者席前方の席で観戦していた。今回のカーディフ戦でも、抑えてあった席の1つが空いていたのかもしれない。

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