退場処分だが主審にも温情が
今季のスタンフォード・ブリッジには、ホームでの開幕戦からジョゼ・モウリーニョの写真の下に、「ONE OF US」と記された横断幕が張られている。ポルトガル人監督が、チェルシーでの2度目の就任が決まった今年6月に口にした、「ファンの1人として戻ってきた」という台詞に呼応する、親愛の情を示す1枚だ。
そして、開幕から2カ月が経過した10月19日のカーディフ戦(4-1)、チェルシーの指揮官は文字通り、スタンドで12人目の一員となった。
モウリーニョがベンチからの退去を命じられたのは、試合も残り20分強となった頃。自軍がスローインを得た場面で、主審がボールを持ったブラニスラフ・イバノビッチにプレー再開を即すと、血相を変えてベンチを飛び出して抗議した。
意外な光景だった。チェルシーは、その数分前の選手交代に伴う3バックへのシステム変更が奏功し、2-1とリードを奪った直後だったのだ。その時点では、スローインの位置が不満なのかと思われたが、最終的には前半から相手の時間稼ぎに苛立っていたところに、イバノビッチが「2秒足らず」でスローインを急かされたことで、我慢が限界に達したのだと判明した。
もっとも、主審にも情けはあった。その証拠に、モウリーニョは通常は2階席に追いやられる「スタンド行き」ではなく、「ベンチ外」のみを告げられている。とはいえ、最初に移ったベンチ後方2列目は、さすがに退く距離が足らなかった。
周囲がチームスタッフと当日のメンバーから漏れた選手では、ベンチも同然と見なされたのだろう。再び席を追われたモウリーニョは、数列後方の一般席に座るはめになった。