カシマスタジアムで行われたJ1第29節・鹿島アントラーズ対浦和レッズ戦。今季ホーム初黒星を喫してしまい、ダヴィの退場など何かと物議を醸し出した上位対決だったが、実はこの試合では、あるひとつの明るい話題がクラブにもたらされている。
それは、この試合の観客入場者数である。32,305人と東日本大震災後、カシマスタジアムの観客動員数が初めて3万人を超えたのである。ホームで3万人を超えたのは、2010年5月のガンバ大阪戦(32,855人)以来とのことだ。
ここ数年、Jリーグの入場者が伸び悩んでいる現状は多くのメディアが伝えている通りである。中でも2011年に起きた東日本大震災の影響は大きく、ここ5年のJ1の平均入場者がそれを如実に示す。
2008年は19,202人、2009年が18,985人、2010年が18,428人だが、2011年からは15,797人と約3千人近いダウンとなっている。2012年は17,566人、2013年は16,434人(第13節までのデータ)と、震災以前までの入場者数には回復できていない状況が続いている。
なにより東日本大震災といえば、福島県や宮城県、岩手県などが多く取り上げられているが鹿島アントラーズのある茨城県も津波の影響で甚大な被害が出た場所でもある。その中で迎えた浦和レッズ戦で、カシマスタジアムの観客動員数が震災以降初めて3万人を超えたのである。
もちろん約4千人以上とも言われる浦和レッズサポーターが駆けつけた影響も大きい。それでも震災以降初の3万人超えは、震災復興の兆しが鹿島に少しずつ見えてきた現象だったと言っていいのかもしれない。
【了】
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