日本とは「全然違う」オーストラリアのサッカー
オーストラリア初年度の今季、クィーンズランド州のNPLでシーズン優勝とファイナル王者の二冠に大きく貢献した伊藤は、自らのこれから進むべき道をじっくりと見極めようとしているところだ。
「自分が(選手として)成長できるのはここ(オーストラリア)なのか、それとも他にあるのか」と、オーストラリア残留と他国移籍のいずれをも視野に入れつつ、まずは激動のシーズンの疲れを癒している。
試合後に2人に話を聞いて印象的だったのは、「やっぱりオーストラリアのサッカーは(日本と)違いますか、色々と?」と、流れでかなりあいまいな質問をぶつけた時のこと。2人は一瞬互いに顔を見合わせ「全然、違うよね」「違いますね」と、事前に打ち合わせたかのように、どちらともなく淀みなく答えた。
言葉も違う異国の地でチャレンジを続け、きっちり結果を残してきた2人の「侍」は、戦い終えてすぐに同じ修羅場をくぐったもの同士でしか分かち合えない何かを明らかに共有しているように見えた。
さらに、「これからオーストラリアを目指す選手に何かアドバイスできること」を個別に尋ねると、この問いにも「言葉を少しでも準備してきたほうがいい」という同じ意味合いの答えが返ってきたのも興味深い。
「練習に臨む姿勢やプレーで伝えられることには限界がある。しかし、言葉がもう少しできれば、もっとクラブに何かを残すことができたと思うと、それが心残り」と山内。
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