ドルトムントすらも圧倒。しかしアウェーでは…
ドルトムントのハイプレスに、ラファエル、アランゴの技術と、クルーゼの気迫で応酬する。その姿は感動的ですらあった。最後はその3人の鮮やかな連係で、ラファエルがゴールを突き刺し、2-0で勝利を収めることとなった。帰りのバスや列車の中は、酔いに委ねた陽気なファンで溢れていた。
そして系譜が脈々と受け継がれているのは、ファンやピッチの中だけではない。栄光の時代のトロフィーが飾られているVIP席への入口の受付にも、プレスルームにも、名門としてのプライドが漂っている。
働くひとたちには、どこか毅然とした姿がある。皆ボルシアMGの一員として誇りを持って働いている。ボルシアMGを取り巻く至る所に、歴史の重みが感じられるのである。
さてそんなボルシアMGだが、そして迎えた第9節、ヘルタ・ベルリン戦では、いよいよアウェーでの初勝利なるかと思いきや…またもあっさり負けてしまった。ドルトムント戦で魅せたあの猛々しい姿はどこへいってしまったのだろう。
勢いも破壊力もなく、アランゴも、ラファエルも、借りてきた猫のようだった。0-1のスコアで、チームはいいところもなく敗れてしまった。
ホームでの、攻撃、攻撃…という戦い方が、なぜアウェーでは身を潜めてしまうのか。不思議なチームだ。ボルシアMGを取り巻く人たちは、文字通り一喜一憂し続けている。しかし、目先の結果に一喜一憂し続けることも、悪くはないのかもしれない。
ボルシアMGとそのファンを見ていると、どこか愛くるしく、サッカーがもたらす感情の揺れが、むしろ日常に彩りを与えてくれるものに思えてくる。
それもまた、ブンデスリーガの歴史と風景なのだ。
【了】
関連リンク
酒井宏樹は日本代表SBの序列を覆せるか? シャルケ戦で見せたハノーファーでの進化に迫る
グアルディオラ新監督率いる新生・バイエルン。そのスタイルが故に生じる“付け入る隙”とは?
“香川を超える逸材”と韓国メディアが絶賛するソン・フンミン。新天地でさらに飛躍することが出来るか?