少なかったポジティブな面
主将を任されたMF猶本光(浦和レッズレディース)は北朝鮮後「結果がついてこなかった。韓国戦に負けてから団結力がより高まって、チーム作りがいい方向に進んでいたが、1点が取れない。決定力不足が出た」と静かに振り返り、反省するばかり。
目を赤くした田中は「申し訳ない気持ちでいっぱい。自分たちが得点を取れるチャンスはあったのに、取り切れなかった。情けない」と、心ここにあらずの表情で話し、「もしU-20女子W杯にいけるのならあと1年あるので、それまでにたくさん努力していくしかない」と続けたが、日本選手が宿舎に戻った後にアジア予選での敗退が確定した。
私はフットボールチャンネル編集部からの『なでしこジャパンの底上げのために、新戦力は現れたか?』という事前の原稿依頼に基づき、現地での取材を続けた。
2013年は、女子東アジアカップなどを通してなでしこジャパンの新戦力の登場が乏しかった。それを受けての編集部からの、この原稿依頼である。
私は選手やチームへの評価が優しい方だろうと自負していて、これではいけないとも常々考えているのだが、それでも今大会でポジティブな面は少なかった。よかった点を無理にでも書き出せと言われれば、できなくもないが、今は止めておこうと思う。
多くのチャンスを作れる状況で得点に結びつけられず、一度崩れたら立て直せない日本の4位は、妥当な結果だった。常にアジアでは強豪国であったユース年代の日本女子代表を取材してきた私でも、これは受け入れ難い結果だ。
しかし、ここをチーム全体が自覚しなければ、今回の大会に参加した23選手の進歩は無いように思える。23選手には、中国・南京での悔しさを何度でも思い出してほしい。
【了】