日本での指導を望むヴィオ・ジャンニ
したがって、冒頭に記した「もうひとつの意図」、すなわちこの筆者ごときをわざわざ呼んだ彼の意図があるわけだ。ヴィオはこう言うのである。
『私はいつか、ここフィレンツェでの仕事が終われば、日本へ行きたいと強く希望しているんだよ。02年に初めてW杯で日本代表を眼にしてからというもの魅了され、だから可能な限り観てきたし、もちろん先のコンフェデ杯もすべて見ているんだが、とにかく日本代表の彼らほど強烈な魅力を私に抱かせる者達は他にいない。
コーチの血が騒ぐというやつだね。彼ら日本人選手達の献身性、真摯な姿勢は他に類を見ないのだから。最高の仕事を共にできるという確信がある。そして、ここフィオレンティーナでやっているように、プリマベーラ(ユース)への指導も日本で是非やってみたい。その幸運に巡り会えれば最高だよ』
09年4月、「ガゼッタ紙」がヴィオの特集を組んだ際、紹介されたのは「4830パターン」だったが、それは実のところ『適当に』答えた数字なのだそうだ。実際には、その数は優に6000を超える。
ヴィオ・ジャンニ。気さくにして猛烈に熱いサッカー狂の「オッサン」との話は、翌日もまた電話で3時間を超えていた。やはり現場に生きる者達の声ほど面白いものはない。話しながら、そうつくづく思う。
そのヴィオは、来る10月の代表ウィークにはあのバルセロナに招待されて講義を行う予定だという。モンテッラがそれを許すかどうかは不明だが。ちなみに、そのバルサに関してヴィオはこう言っていた。
『まさに“フェラーリ”のような美しさを持つのがバルサというチームだが、現実には、そのバルサと言えども本来のポテンシャルを100%活かし切れているというわけではない。現状はなおも70~80というところか。誤解を恐れずに言えば、この私の理論を取り入れてはマスターし実践すれば、バルサは文字通り完璧なマシーンになる、そう確信する』