リーグ価値の低下と高額の税制
UEFAランキングでは、ポルトガルに抜かれて現在6位。7位のロシアとは大きな差があるが、TOP5からの転落はフランスにとっては大きな恥辱なのだ。
より身近なところでは、日本のサッカーメディアでも以前は、リーグ1はリーガエスパニョーラ(スペイン)、プレミアリーグ(イングランド)、セリエA(イタリア)、ブンデスリーガ(ドイツ)と並んで『5大リーグ』と称されることが多かったが、最近ではすっかり「その他のリーグ」扱いに格下げとなっている。
世界的にリーグ1が、注目度・人気度ともに降格線をたどっているのは紛れもない現実だ。
それゆえに、カタールやロシアら国外の富豪の投資を得て、スター選手を集めてビッグクラブに生まれ変わろうとしているPSGやモナコに対し、ティリエーズ会長は非常に好意的だ。リヨン、マルセイユといった国内の強豪勢が財力を持たなくなった今、他所からの投資家は大歓迎といった心持ちなのだろう。
フランスサッカー界の財政を圧迫している要因のひとつに、所得税が高い、という問題がある。
スペインではサッカー選手は税制で優遇されているというが、そのような例外措置はフランスにはなく、つい先日も「総額1億ユーロ以上の給与を支給している会社には75%の所得税を課す」という税法が採用されて、フットボールクラブもさらに台所が逼迫する事態となっている。
たとえば選手に『手取りで』1億円を支給するには、クラブ側は税金分を含めて4億円を用意しなければならないが、そのような余裕があるクラブは今のリーグ1ではPSGとモナコくらいだ。その他のクラブは、サラリーが高い外国人選手を輩出する方向にシフトするしかない。
今夏のメルカートでも、マルセイユは顕著に国内志向、さらには若手中心の補強を慣行した。
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