天皇杯でJ2クラブが次々と敗退する中、JFLのAC長野パルセイロが奮闘している。天皇杯2回戦でJ1名古屋グランパスを2-0、3回戦ではJ2ギラヴァンツ北九州をPK戦の末に破って4回戦進出を決めた。
長野は現在JFLで首位を快走。このまま優勝してJ2昇格といきたいところだが、長野は現状で昇格できる立場にない。
ホームスタジアムの南長野運動公園総合運動場総合球技場がクラブライセンスの基準を満たしていないためで、同スタジアムは改修工事を行っており、2016年シーズンの完成と同時にクラブはJ2昇格を目指している。
現在の長野の指揮官は、昨季まで徳島ヴォルティスで指揮を執っていた美濃部直彦氏。その前の指揮官が薩川了洋氏。柏レイソルから出向という形で指揮を執った。この時期に長野はJFLの上位に君臨し続ける存在となり、現在に続くチームの礎を築いた。
ちなみに、日本サッカー界で語り継がれる『ジョホールバルの歓喜』にまつわる人物が長野で指揮を執っていた時期がある。
日本代表が初めてワールドカップ行きのチケットを手にした『ジョホールバルの歓喜』で対戦相手のイラン代表監督を務めていた人物、それがブラジル人のバルディエール・バドゥ・ビエイラ氏なのだが、実は長野で、06年6月から09年末まで指揮を執っていた。
個人的にビエイラ氏と現場で話したことがあるが「なぜ長野に来たのか?」という問いに対して、
「長野のフロントから熱いメールが届いたからさ」
と、応えてくれたときの満面の笑みを印象深く覚えている。
長野はビエイラ体制でJFL昇格に失敗したが、その後受け継いだ薩川氏がミッションを成し遂げた。そして現在は美濃部氏がその流れを受け継いでいる。
長野の今季の天皇杯の戦いぶりを見ても、実に順調なチーム作りが進んでいる様子が覗える。将来は松本山雅との熱い信州ダービーもJリーグの舞台で実現することだろう。
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