セットプレーの専門家ヴォオ・ジャンニ
コーチの名は、ヴィオ・ジャンニ。
フィオレンティーナで「セットプレー」の専門コーチを任務とする男である。現在61歳。だが、鍛え抜いた肉体が凄まじいためかその容貌は50代の前半にしか見えない。
81年に始まる指導者としてのキャリアは通算で33年。当初はいわゆる“普通の”監督としてベネツィア・メストレ(伊北部)のユースを率いて以降、銀行マンとして生計を立てながら、主として地域リーグのクラブを指導し、そしてセリエC2からC1、スイス・セリエBのクラブへと階段を上がり、07年に現職の「セットプレー専門」となる。
そして同07年にワルター・ゼンガ(元インテルGK)の下でディナモ・ブカレストへ。さらには同07/08スーズンにはゼンガと共にカターニアへ渡り、そこでは森本とも一緒に仕事をしている。さらに、同じくゼンガの右腕として09年にはパレルモへ。
10年にはアル・ナスル(サウジアラビア)。と同時にトリエステ(セリエB)のコーチも兼任しながら、11年に再びアル・ナスルへ戻ると、その年のマスター(コベルチャーノにおける監督ライセンス取得講座)でモンテッラと出会い、意気投合すると昨季(12/13シーズン)から他ならぬモンテッラと共にフィオレンティーナのテクニカル・スタッフとなり現在に至る――というキャリアの持ち主である。
そして、当然のことながら、筆者との「話」はセットプレーのそれに終止し、前述の通り4時間強に渡って彼はサッカーにおける「動かぬボール(FK、コーナー、スローイング)」の重要性を熱く語ったのである。その上で、もう一点、敢えてこの日本人記者を呼んだことには当然のことながら意味があるのだが、その話は本稿の後段に記したいと思う。