敗れはしたものの大きな収穫を得たブラジル戦
「自信」。最近の韓国に足らなかったのは、その二文字だったのかもしれない。ブラジルW杯出場こそ決めたものの、アジア最終予選では後味の悪い形でのグループ2位突破。ホームで行なわれた東アジアカップでは1勝もできなかった。気づけばFIFAランキングは58位(2013年9月)となり、アジアの中でも4番手に甘んじる有様。そんな韓国代表が10月、ホームで2つの親善試合を消化した。
10月12日のブラジル戦。当日スタジアムには、ソウル・ワールドカップ競技場の歴代最多観客数を更新する6万5,308人の観衆が訪れた。チケットは完売し、スタジアムは赤一色。試合開始前には、2002年日韓ワールドカップで韓国をベスト4に導いたフース・ヒディング元監督が、ホン・ミョンボ監督と抱き合うシーンも見られた。
試合は、親善試合とは思えない熱戦となり、ヒートアップしたイ・チョンヨンとマルセルが言い合うシーンも。ネイマールは前評判通りにピッチを駆け回り、彼の一挙手一投足に視線が集まった。記者席で取材したが、韓国の選手たちも動きは悪くなかったように思う。ブラジルの左サイドを積極的に攻め、特に前半27分のチ・ドンウォンのクロスはゴールへの期待を感じさせた。
しかし、ブラジルはブラジルだった。均衡が崩れたのは、前半43分。ネイマールの直接FKが韓国のゴールネットを揺らす。さらに後半開始直後、今度はスルーパスで抜け出したオスカルがキーパーをかわして、左足でゴールを叩き込んだ。2点差としたブラジルは、以降はラインを若干下げる。韓国はキ・ソンヨンのコーナーキックにイ・チョンヨンが頭で合わせるなど、いくつかの見せ場は作ったが、得点にはいたらなかった。
ただ、試合には敗れたものの、韓国にとって得たものが多い試合だったと言える。それは試合後の記者会見の場で、ホン・ミョンボ監督が語った言葉からもわかる。
「結果は残念だが、自信を持てたのがもっとも大きな収穫だった」