欠けている状況判断を養うトレーニング
「タイでウォーミングアップや、試合会場での練習を見ていても、対人の練習をしていない。相手を付けないでクロスの練習をしている。これでは試合につながらない。僕は普段から必ずGK同士でアッタカー役を入れて、出る出ない、掴むか弾くかを判断させるんです。状況判断を伴ったトレーニングをしなくてはいけないんです」
その指摘はGKだけに留まらない。加藤氏はサッカーには4つのモーメントがあると語る。攻撃、守備、攻から守への切り替えと、守から攻への切り替え。これら4つがトレーニングに入って、初めて判断の要素が磨かれるという。
「私が見ている範囲では、残念ながらその要素が1日2時間のトレーニングなら最後の30分くらいしかないんです。後は、ほとんどドリルとか。なぜ判断を伴ったスキルという所に気付かないのか。ここ30年くらいのタイと日本の大きな違いは、そこだと思うんです」
「僕はもっとグローバルな視点を取り入れなければ、タイのサッカーは発展していかないと強く思っています。タイ代表に入ったからといって、自分がどこまで変えられるか分からないですけど、少なくともGKに関しては状況判断を伴ったトレーニングに変えていきたい」
15日に行われた2015年のアジア杯予選第3戦では、タイはアウェイでイランに2-1で敗れたものの、先発出場したGKシンチャビンチャイは随所に好プレーを見せていた。今後の加藤氏の手腕が期待される。
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