2011年に選手会は労働組合化をしているが…
では、日本サッカー協会はどうかと言えば、不明だ。今夏、Jリーグが2ステージ制導入の議論の佳境を迎えている際に、散々「お金がない」のだと訴えていても、サッカー協会は沈黙を守っていた。選手会側からしても、サッカー界から手厚いサポートがなされているという実感はないと聞く。
Jリーグがサッカー協会からお金を引っ張れればよいのだが、両者は現状そのような協調関係にはなく、上下関係(当然、日本サッカー協会が上)という印象。
Jリーグが引退する選手を手厚くサポートし、元選手はサポートされてセカンドキャリアでも輝くからこそ、Jリーガーのブランド価値が高まり、子どもたちや親御さんらが夢を見るのではないだろうか。
だが一方で、Jリーグと選手会が労使関係であることも事実。2011年に選手会は労働組合化しているが、組織が十分に機能しているとは言い難く、労働者である選手たちは使用者に対してどうしても立場が弱くなりがちだ。
ちなみに選手会の幹部会は現在、多いときは1ヵ月に3回ほど開催しているという。月曜日の貴重なオフにわざわざ東京に集まって、である。だが、選手会が実質的な力を持たなければ、努力も徒労に終わるだけである。
Jリーグの百年構想はこの20年で一定の成果を収めたと言っていい。チーム数も当初の10チームから40チームへと増え、来季はJ3も誕生する。選手たちからすれば雇用の場が間違いなく増え、歓迎する声が確かにある。
だが、一方で、プロ選手としての価値が相対的に下がり、結果として、将来的に危ういセカンドキャリアを歩まねばならないのであれば、決して看過すべき問題ではない。
これはJリーグが20年経って新たに生まれた問題だ。選手の価値を高めるにはどうすればよいのか。プロサッカー選手会がより力を持つためにはどうすればよいのか。そのための問題意識と議論をサッカー界全体で共有することが必要な時期に来ているのでないだろうか。
【了】
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