先日スカパー!の「Jリーグラボ」という番組にプロサッカー選手会(現会長はサンフレッチェ広島の佐藤寿人)の事務局の方が出演した。
議題に挙がったのはJリーガーのセカンドキャリアについて。同番組のパーソナリティである名波浩氏と野々村芳和氏はJリーガーの年金や引退後の保証について強く訴えていたが、事務局の方が明かす現状は厳しいものだった。
毎年クラブの契約が満了となる選手は計約140名ほど。そのうちほとんどはサッカー界に何らかの形で残るが、うち数人はサッカー界とはまったく関係のない異業種に転職するという。選手会はそれらのサポート活動も行っている。
だが、金銭面のサポートは脆弱といわざるを得ない。現在、選手会からはJリーガーが引退したときに一時金という形で、セカンドキャリアを迎えるにあたっての軍資金を提供しているが、この計算方法が以下の通りで、
【生涯の出場試合数×千円】
なのだという。
え? たったこれだけ? という印象である。200試合出場で20万円、400試合出場で40万円。仮にライアン・ギグスやスコールズが生涯Jリーグでプレーして引退したとして、たったの70万円や80万円である(もっとも彼らほどのキャリアの持ち主であれば一時金など不要なほど蓄えはあるだろうが)。
現役時代、選手たちは年俸額に応じてプロサッカー選手会に徴収される積立金があるという。これは引退時に手元に戻ってくるというが、J2リーガークラスの場合は年間1万円ほどの積立金なので、たとえばJ2で10年間プレーしたとしても10万円程度の還付金となる。一時金と合わせても、引退時に手にするのは、選手によっては50万円にも満たないのかもしれない。
引退後すぐに引越しなどもあるのだから、1ヵ月ほどでそのお金は食いつぶしてしまうのではないか。いざセカンドキャリアを構築しようにも、そのための軍資金がなくて動けない、なんて事態に陥る可能性があるわけだ。
本来、Jリーグが選手会に潤沢な支援金を提供できればよいのだが、周知のとおり、現状のJリーグにはお金がない。