「また1年でのJ1復帰を目指す」社長の強い決意
J2降格による観客動員の落ち込みも予想される。サポーター未満のいわゆる“ライト層”は、やはり強いチームが好きだ。戦績を上げることが最も手っ取り早いが、同時にここでも数字では表せない価値をアピールしていく必要がある。
クラブが一貫して理念に掲げる「育成」もそのひとつだ。「第2、第3の清武をアカデミーから生み出したい。より現場に近い視点で地域の才能を見出し、育て、いつかトップチームの選手の多くが大分出身者になることが目標」と、青野と柳田は口を揃える。
魅力的なチームでなくては、増資はもちろん広告やチケット収入も期待できない。その魅力の礎は、この数年で確かに築かれてきた。昨季集められた「J1昇格支援金」の額の多さがそれを物語る。
「仙台に6-0で敗れたときはとりわけ悔しくて、試合終了後はスコアボードを睨みつけ、しばらく目が離せなかった。あの悔しさを胸に焼きつけて、目の前の試練を乗り越える。J1でのリベンジはJ1でしかできない。どん底から這い上がっていく姿を見てもらいたい」
そう語る青野は、当初予定していた県からの出向期限を毎年更新するかたちで社長業をこなしている。4年のあいだに、公務員らしい堅実さを持ちながら、スポーツビジネスに生きる勝負師としての表情も見せるようになった。
「また1年でのJ1復帰を目指す。ただし今回はプレーオフではなく自動昇格でね。県民をはじめ多くの方々に愛され支えられてきたクラブを、なんとしても存続させる。信念をもってやるだけです」
たとえ次にJ1昇格しても、また1年で降格するかもしれない。育てた若い才能は、チームを離れて羽ばたくかもしれない。そんなことを繰り返しながら、少しずつクラブの骨格を太くしていきたい。小さな地方クラブの器なりに、夢をもって進む。その姿勢さえ揺るがなければ、再生は順調に進んでいくはずだ。
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