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Jリーグ 11年前

財政危機の大分はクラブを存続させることができるのか。青野社長が語る再生への道

text by ひぐらしひなつ photo by Kenzaburo Matsuoka

経営破綻から4年、徹底的に体質改善を図る

 09年11月。大分FCは、成績不振や景気低迷、一部大口スポンサー料の未払いなどが重なり資金がショートして、シーズン中の試合開催さえ危ぶまれる状態に陥った。

 クラブから救済を求められた大分県は急遽、当時は文化スポーツ振興課長だった青野を大分FCに出向させ、不透明だった財務状況を調査。果たして10年1月の決算で発表された債務超過額は、11億6700万円にも上るものだった。

 当時の鬼武健二Jリーグチェアマンも「破綻といっても過言ではない。あってはならない経営」と苦りきった“放漫”ぶりについて、その処理を一手に負う羽目になった青野は「チームの強化に走るのはわかる」と同情的な理解も示しながら、「社内におけるチェック機能が働いていなかった」と厳しく分析する。

 Jリーグからの6億円の緊急融資により当座を乗り切った大分FCは、再建計画にともなう経営の見直しを行った。以降、徹底的なコスト削減と地道な営業活動により、3期連続1億円超の黒字を計上している。総売上げが10億円に満たないことを考えると、これは快挙と言っていい。

 リーグへの返済計画は3年。10年度に1億、11年度に2億を返済し、残る3億円の返済に、12年シーズンから導入されたJ1昇格プレーオフが大きな梃子となる。プレーオフ参加権を得るために支援金を募ると、チームの好調も追い風となり、県民やサポーターから1億2千万円超が集まった。

 この勢いに地元政財界も支援へと動き、クラブはついにリーグからの借入金を完済。その後チームが歓喜のJ1昇格を果たしたことは記憶に新しい。県民・企業・行政が一致団結してクラブを支える「三位一体」の理念が結晶した出来事だった。

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