6位からの昇格は感動的ではあったが…
こうして考えを進めていく中で、一つの問題提起が思い浮かんだ人も少なくないだろう。すなわち、「昨季の大分はJ2で何位だったのか」という問題である。
大分は昨季のJ2リーグ戦で「6位」だった。新設されたJ1昇格プレーオフに臨み、3~5位のチームを退ける形で、大逆転で昇格の権利を勝ち取ったわけである。その感動的で、そして何より見事な戦いぶりを記憶している方も多いはずだ。
多くの耳目を集め、多数の客が足を運んだ試合は大きな露出機会を得て、スポンサーの満足度も大いに高まったに違いない。そのメディア露出は1位や2位で抜けたクラブよりも遥かに多く、「6位から上がった大分のことは知っているけれど、1位や2位でJ1昇格したクラブのことは知らない」という人が少なくないという珍現象も生んだほどだった。
単純に「6位でもいける」ということが、これまでなかったJ2の中位チームに新たな目的意識を宿らせたという効用も見逃せないレベルだった。
一方、6位のチームが昇格し、結果としてその6位のチームは翌年のJ1で低迷し、早期降格の憂き目を見たということでもある。「本当に強いチームが上がっていないから、こうなるのではないか?」。そうした制度そのものへの疑問が生じるのは無理からぬところである。
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