ケガをしないことが一流の証
――長友佑都選手(インテル)をはじめ、これまで数多くのアスリートを指導されてきた木場さんが考える、肉体的に優れた選手の条件を教えてください。
筋力的にどこが優れているというよりも、ケガをしない選手は常にいい状態で自分のパフォーマンスを発揮できていますね。その意味では、まずケガをしない体を持つということが、条件といえるのではないでしょうか。自己管理がきちんとできていて、ケガをしにくい。それが、すべてのベースになってくると思います。
――ケガをしにくい選手の特徴とは?
子どものうちから、ストレッチや食事を含めて、肉体的なケアをしています。また、練習で筋肉にダメージを受けたとき、どういったストレッチをすればいいかなど、自分で自分の体のことがよくわかっていますね。
34歳まで現役を続けた宮本恒靖さん(前ヴィッセル神戸)は、起床後の心拍数の計測、睡眠時間の管理、練習や試合後の食事などに、しっかりと気を使っていました。ケガをしにくい選手はみな、そうやって自分の体を大切にしています。
――木場さんがパーソナルトレーナーを務め、現在インテルで活躍する長友選手は、どうだったのでしょうか?
長友選手の場合は高校時代から腰痛やヘルニア、腰椎分離症など、腰のケガを患っていました。大学生のとき、僕のところに通うようになってからは、体幹の補強に努めていましたが、どうしても痛みがあった。バランスのいい体という点では、柔軟性に欠けていた部分があったように感じます。
しかし、ストレッチをはじめとするケアや体幹トレーニングを行うことによって、腰の痛みも徐々になくなってきた。当時から高い意識を持っていたので、トレーナーの意見を聞いてメニューをこなすことで、ケガをしにくい柔軟性のある体に変わっていきましたね。
そういう意味でも、ケガをしにくいバランスのとれた体、柔軟性を持っている選手は、トップアスリートに近づくことができると思います。
柔軟性がパワーとスピードを生む
――「バランスのいい体、柔軟性を持った選手」がトップアスリートに近づく要素とのことですが、木場さんが指導されてきた中で、その部分が特に優れている選手は?
やはり長友選手でしょうね。開脚であれば160度まで開くし、前屈であれば手の平が床にべったりとつく。それはストレッチや体幹トレーニングを重ねることで、手に入れた柔軟性です。
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