中盤での守備と香川の不調がチームに与えた影響
セルビアの選手は体が強くてキープ力があるので、プレスしても持ちこたえられたり外されたりして奪いきれないケースが何回かあった。そのときは中盤を通過されるので総退却になる。退却しながらラインを揃える対応は、カウンター対策に力を入れていることをうかがわせた。しかし、ミドルシュートにラインの端の選手が飛び込むなど、やや疑問を感じる対応もあり未完成の印象は残った。
押し込まれたときの守備は相変わらず弱く、この点もコンフェデ杯のときから進展がほとんどない。セットプレーで高さを使われると弱いのも変わらず。
長身ぞろいのセルビアに高さで失点しなかったのは結果的には良かったとはいえ、フランス戦と同じでその点はラッキーだったにすぎない。守備での高さ不足は改善できないだろう。それだけに失点の危険はどんな相手に対してもあり、だからこそセルビアに1点もとれなかったのは痛いのだ。
日本のリズムでプレーした時間がそれなりにあったにもかかわらず、得点できなかったのは香川の不調も影響したのではないかと思われる。いつになくボールを失う回数も多かった。マンチェスター・ユナイテッドであまり試合に出ていないので試合勘が鈍っているのかもしれない。
所属クラブで出場機会が少ないのは香川個人の問題なので、代表チームが助けることはできないが、攻撃の切り札だけに不調の影響は大きい。
セルビア戦はW杯でのグループリーグ突破に不安を残す試合となった。とはいえ、まったく歯が立たなかったわけではない。今回は負けたが次回は勝つかもしれない、そういう内容だった。しかし、次は必ず勝てるといえるわけでもない。
前回W杯で岡田監督が大会直前にチームを改造したきっかけの1つが、セルビア戦での敗戦だった。その後に韓国にも完敗して守備重視に舵を切っている。しかし、あのときのセルビアは国内組だけの3軍に近い急造チームで日本のホームゲームでもあった。今回とは比較にならないぐらい悲観材料しかなく、そのぶん踏ん切りもつけやすかった。
今回はそこまで悲観しなければならない内容ではなく、ザッケローニ監督が大ナタを振るうこともないだろう。そのぶん劇的な変化は期待できず、ファンはもうしばらく閉塞感と向き合うことになりそうだ。
【了】
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