日本代表がチャンスを作り出すために必要なこと
日本の決定機は3つあった。3つしかなかったともいえるが、相手はそれ以下なのだから相対的に日本のほうが優勢だったわけだ。
最初のチャンスは31分、香川から本田へ渡し、本田から長谷部へ横パスが出る間に香川がラインの裏へ走り、そこへ長谷部からのパスが合った。香川のシュートはGKの左足に防がれたが、連動性とショートパスを組み合わせた日本らしい崩し方だった。
あとの2つは柿谷が放ったクイックシュートと、本田→香川とつないだ後のプルバックを岡崎がシュートした場面。岡崎のヘディングシュートや本田のFKも惜しかったが、いずれも距離感の良い時間帯でチャンスを作っている。
遠すぎない距離感を保ちながら、最後は主に遠藤からの縦パスを本田、香川が足下で収めてフィニッシュへ持っていくのが日本の形だ。ゲーム開始からしばらくは距離感が悪く、単発的にしか攻撃できていない。ピッチ状況に適応して、焦らずにつなぎながら日本の距離感を保ち、ボール周辺に人数を集められるようになってからは日本のリズムになった。失っても素早くプレスしてカウンターをさせない流れにもなっている。
逆にゲーム終盤のように距離が開き、個人技で何とかしようとしはじめてからは得点の臭いがしなくなった。コンフェデ杯でもそうだったが、日本は自分たちの距離感をしっかり作ったうえでプレーする必要がある。1対1の関係ではなかなか裏をとれないからだ。
遠藤から岡崎へのミドルパス、長谷部から内田へのパス、清武から本田への浮き球のパスなど、どれもあと一歩だったとはいえすべてボールは流れている。最も決定的だったコンビネーションから香川が抜け出したときは、香川、本田、長谷部の3人が絡んでいて、1対1の関係で裏をとったものではない。複数が絡んで裏をつくには、アタッキング・サードにある程度の人数を近い距離で揃えておかなくてはならない。
良い距離感でプレーする時間はさらに増やしたい。しかし、セルビア戦ではある程度できていた。