まったく攻撃の形つくれず
試合の見どころは最初の10分間だけだったと言っていい。
11日のセルビア戦は昨季インテルを退団し、この日で引退するスタンコビッチの記念試合となった。代表通算103試合を記録したスタンコビッチは先発出場し、約10分間出場。拍手で送り出された後は、子守唄を延々聞かされるような苦しい時間が80分続いた。
ほとんど攻撃の形をつくれず、得点の匂いがするシュートチャンスは三度ほど。ザッケローニ監督は試合後、「より多くのチャンスをつくらなければならない。チャンスを決められるかどうかが勝敗を分けた」と述べたが、それは簡単なことではない。
今日送り出されたメンバーは柿谷曜一朗を除けば長い期間代表で一緒にプレーしている。連携面の向上を常に図ってきたにもかかわらず、ピッチの状態や疲労度など悪条件が重なれば、何も出来ないに等しい試合をしてしまう。
後半は押し込む時間帯もあったかに思えるが、リードしたセルビアが引いていただけだ。ブロックをまったく崩すことが出来ず、高さで上回る相手に対してサイドからの単調なクロスを上げるという、可能性に乏しい攻撃を仕掛ける場面もしばしばあった。
本当の決定機は香川真司がエリア内で抜け出した一度だけではなかったか。それを決めていれば試合の流れは違ったものになったかもしれないが、100%ゴール出来る選手などいない。セルビアも決定機は外している。課題は決定力不足で片付けられるものではない。
問題はもっと根本的なことにある。
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