キックオフ時間は日本のTV中継が影響か
カラジッチ会長の進退問題も絡んでいるが、親善試合の日本戦(11日)とW杯予選のマケドニア(15日)がミハイロヴィッチ監督にとってセルビア代表最後の指揮になるのが濃厚だ。
日本戦がベオグラードではなく70キロ離れたノヴィサドが開催されるのも、サッカー協会の風当たりが強く、ブーイングばかり浴びせる首都のサポーターを避けるため。
宿敵クロアチアとの試合はベオグラードのスタディオン・マラカナで開催されたが、関心は遥かに低く、サッカー協会に反発する常連サポーターの多くがボイコットした(観客の半数以上が地方や国外から来たという)。
一方でノヴィサドは民族が混在するヴォイヴォディナ自治州の首都であり、寛容的な人々が比較的多い土地でもある。ミハイロヴィッチ自身もノヴィサド本拠地のFKヴォイヴォディナでキャリアを築き、1988/89シーズンのユーゴリーグ優勝に貢献した。
筆者は先週にセルビア・サッカー協会を訪問する機会があり、キックオフ時刻の設定について関係者に尋ねたところ、日本でのテレビ中継を巡ってそれなりの綱引きがあったことを匂わせた。
それでも地元民が何とか足を運べる現地時間17時半(日本時間24時半)に落ち着いたことで、会場のスタディオン・カラジョルジェはたとえ満員が望めなくとも親日的なサッカーファンが多数集まり、両チームに均等な声援が送られることだろう。
ユーゴスラビア、セルビア・モンテネグロ、セルビアと国名を次々変えながら、いずれの代表チームでも重責を担ってきたMFデヤン・スタンコヴィッチにとっては日本戦が最後の花道となる。ミロシェヴィッチを越える単独最多の103キャップを刻んでチームを去る“カペタン”に対し、盛大な拍手が浴びせられるはずだ。
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