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“マイアミの奇跡”よりも熱かった! “ドーハの悲劇”の教訓が活かされたアトランタ五輪予選・サウジアラビア代表戦

text by 編集部

執念の末に掴んだオリンピックの出場切符

 そこから試合終了までの時間帯、「苦しいことしか覚えていないです。3点目を取りにいくというプランはなかったです」と前園が明かしたように、日本が選択したのはとにかく時計の針を進めることだった。

「ボールを拾いにいくときもわざとディフェンダーに指示をしながら、時間を稼いだり…」と川口が明かせば、前園もCKのチャンスでキックモーションに入ってから芝に足を取られて転倒するなどとにかく時間を稼いだ。試合の最終盤にはチームメートに向かって必死に鼓舞し続ける前園の姿があった。

「あんなシーン、初めて見ましたね。それまでゾノさんが、試合中に声で鼓舞する姿はあまり見たことなかった」(川口)

「あれほど執着している前園はいなかった。DFに対する意識、全体に対する意識。今までにないゾノがそこにいたと思います」(西野監督)。

 そしてようやく掴み取ったオリンピックの出場切符。彼らはあのサウジアラビア戦の勝利をこう噛み締める。

「決めたという喜びの後に、安堵感ですね」(前園)

「選手達も本当にタフに、こういうメンバーを選んで、こういうスタッフで勝ち抜けて、やっと出れるんだという思いですね」(西野監督)

「達成感もあるし満足感もすごくある。本当に凄いゲームでした」(山本昌邦コーチ)

「間違いなくベストゲーム。自分にとって最高のベストゲーム」(川口)

 そして番組のラスト。

 前園真聖は、あの試合の意味をこう位置づけていた。

「いろんな先輩たちがワールドカップやオリンピックに挑戦して夢が破れて夢がまだ先だなという中で、自分たちはそのチャンスを自分たちでものにしないといけないと思っていた。

 今では当たり前にワールドカップやオリンピックに出ていますが、その礎になっていったらいいのかなと思います」

【了】

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